『どうすれば英語が上達しますか?』と聞かれることがよくあります。

こういう質問に対してはいつも、沢山聴いて、沢山書いて、沢山話せば英語が上達できます、と答えます。でも、英語が上達するって、一体どういう状態なのでしょうか?

10年間のアメリカ生活を終えて帰国してから5年経った今、英語について思っていることをここに書かせて頂きたいと思います。(長文です、お時間のある方は少しお付き合い下さい m(_ _)m

①私が実践した学習方法
まず、自分がどのように英語が話せるようになったのかをお話しします。

・中学2年のとき、girl(女の子)の発音が分からない息子を目の当たりにし危機感を覚えた親の勧めで学習塾に通う。そのお陰で、高校受験の時の英語のレベルは、まぁそこそこできた。

・高校の時、「日本人が何故英語を喋る必要があるのか?」という幼い理由で勉強せず、成績イマイチ。

・専門学校時代、英語と全く無縁の生活。洋楽はよく聴いたけれど音だけで歌詞は聴こえない。

→渡米

・ホームステイをしながら語学学校に通い、渡米4ヶ月経ったときにホストファミリーに招待されたサンクスギビングのパーティーで自己紹介をし、向かい側に座っているおじさんが隣のおじさんに「Did he speak English?」と聞いたのが聞こえてきてショックを受ける(←最初で最後のホームシックの原因)

・語学学校をやめて、一般教養を大学で勉強開始、すると次第に英語が上達しはじめる。語学学校をやめたのは、20人近くいるクラスの中でネイティブは先生たった一人だと気づいたから。語学学校→ネイティブは一人だけ→ちゃんとした英語を聞いたり話したりする機会が少ない。一般教養→自分以外全員ネイティブ→先生がいっぱい!単純なことだけれど、偶然ながらもこれに気づくことができたのは本当に良かった。基礎の基礎さえ教えてもらえば語学学校で学習することはそんなに無い。

・大学専門課程、『専門課程を英語で勉強するのって大変ですよね?』とよく聞かれるが、専門用語が難しいのはアメリカ人も同様、本当に難しいのは「その他」のこと。冗談を言い合ったり、口喧嘩したり、噂話をしたりという日常会話が大変だった。3年と4ヶ月、どっぷり英語に浸かった。本当に一生懸命勉強した貴重な時代だった。

・アメリカで就職、ボスに『今のままの英語力では到底業務を任せられない』という激励?を受け、週に1回の英語レッスンを開始。この時お世話になったのは英語の先生ではなく「言語聴覚士」という資格を持った女性。言語聴覚士とは発達障害などで言葉がうまく話せない子供や、脳梗塞などで言葉を発することが困難な方の地リハビリやトレーニングを行う専門職。口の開け方、舌の位置、話すスピード、聞こえるべき音、聞こえてはいけない音など、きめ細かなトレーニングを受けた。その結果、発音がかなり上達。レッスンは帰国1週間前までおおよそ3年ずっと続けた。

と、こんな具合です。

沢山聴いて、沢山書いて、沢山話せば英語が上達できます、とアドバイスをするのは、まさにそれが自分の辿ってきた道だからです。自信を持って言えます。でも全く同じ方法を実践しようとすると10年アメリカに行かなければなりません。。。

そこで、自分の経験から英語学習について気づいた事と[逆転の発想]についてお話しします。

②気づいた事
1. 突然英語が話せるようになることは無い
英語が話せるようになるには2000時間かかるといわれています。日本語の習得に置き換えてみても、「大人のレベル」で日本語が話せるようになったのは何歳の時でしょうか?外国語をそんなに簡単にマスターできるわけがありません。そして、言語能力というのは生涯を通してずっと伸び続けるものだと思います。だから、ある日突然英語が話せた!ということはまず無いと思って下さい。

[逆転の発想]
突然上達しなくても、少しずつでも地道に英語学習を続ければ必ず英語が上達します!SECの例会を例に挙げてみると、週にたった1度の例会ですがおおよそ1年間続けられた方の英語力は確実に上達しています。努力は絶対に裏切らないのです。

2. 帰国子女ペラペラ説のウソ
アメリカにOO年留学していたなどと話すと、まず例外なく『だったらもうペラペラですよね〜』と言われます。「そんなことはありません!」と断言できます。海外滞在時間と英語力は必ずしも比例しません。数年どころか数十年アメリカに住んでいても英語がぜんぜん話せない日本人を山ほど見てきました。その反対に、一度も海外に行ったことも住んだことも無いのに素晴らしい英語力をもった日本人の方に沢山会いました。これが何を意味するかというと、英語は積極的に勉強しなければ身につかないということです。海外に行けば英語が自動的に上手くなるという幻想は捨てましょう。

[逆転の発想]
ということは、海外に留学しなくても英語は上達します!沢山聴いて、沢山書いて、沢山話しましょう。NHKのラジオ講座、テレビの英語講座、NETFLIXやhuluなどのオンラインビデオのサービス、オンライン英会話、Youtubeなど私が渡米した2003年に比べれば驚くほど多くの優れた英語教材やスクールが身近にあり、無料か非常に低価格で各種のサービスを利用することができます。これらを活用しない手はありません!日本に来られる外国人の方は日本の漫画、アニメ、ドラマで日本語を覚えたと言う方が沢山みえます。英語だって海外ドラマから学ぶことが山ほどあります。英語のシャワーを浴びましょう。

3. 完璧な英語じゃないから話すのが恥ずかしい
英語で自己紹介するときに、「私の英語はひどい」「私は英語が少ししか話せない」というような事を言う方がいますが、そんな事をいう時間があるなら、どこから来たのか、何が好きなのか、どんな趣味があるのかを話した方がずっとずっと楽しい自己紹介になります。何が言いたいかというと、英語を母国語とする人は日本人が完璧な英語を話す事を求めていません。あなたが道を歩いていて、外国の方が道を聞いて来たときに、完璧な日本語を話す事を相手に求めますか?だからこそ、つたない英語で構いません。英語は言語です。言語はコミュニケーションのツールでしかありません。メラビアンの法則によればコミュニケーションにおける非言語の果たす役割はおおよそ90%です。

言語情報(話の内容など):7%
聴覚情報(声のトーンや話の早さなど):38%
視覚情報(見た目など):55%

楽しそうに話したり、身振り手振りを使って伝えようとする姿勢が大事なのであって、言語自体が果たす部分というのは実は本当に少ないのです。

[逆転の発想]
つまらない自己紹介はやめましょう。感情や身振り手振りを使って英語を話しましょう。そして会話に使えるものは何でも使いましょう。私は小さい頃から書道をやっていました。アメリカに行った時も、硯と墨と筆を持っていき、何度も書道を披露しました。外国人の方と接する時に、日本の文化に結びつくような特技があるととても役に立ちます。他にも、何か得意なスポーツがあったり、楽器が弾けたりとなんでも良いので自分をアピールするツールを持っているとコミュニケーションの幅が広がります。

4. まず英語が話せるようになってからOOしよう!の落とし穴
あなたが英語を上達させたい理由は何でしょうか?どのような目的がありますか?目的が何なのかによって学習の中身が変わるはずです。一番難しいのは、目的は無いが英会話が上手くなりたいという方です。ここで私が見てきた多くの留学生のケースをご紹介します。
毎年多くの日本人学生が留学します。他文化に触れてみたい、英語が上手くなりたい、将来海外に住みたいなど色々な目的があります。ただ、残念なことに、何の目的もないまま留学する人が沢山いました。人間は何の目的もなければ何かを達成することは非常に難しいのではないかと考えます。目的があるからこそ辛い時も頑張れるのではないでしょうか。目的があるからこそ達成した時の喜びがあるのではないでしょうか。

[逆転の発想]
目的をもって英語学習をしましょう。英語を習得したあかつきには、英語を使って何がやりたいのかを明確にしましょう。目的には優劣はありません。崇高な目的を持つ必要はありません。海外で事業を起して大成功する!であったり、海外ドラマを字幕なしで観る!であったり、旅行に行った時に英語で現地の人と話したい!であったり、好きなアーティストのツイッターを読みたい!であったり、何でもいいんです。目的を明確にすることで英語学習の楽しさがグッと上がります!

5. リスニングを続ければ話せるようになる!のウソ
私は自分の経験上、自分がちゃんと発音できない単語はリスニングでも聞こえないと思っています。例えば誰かがdogと英語で言ったとします。その単語を知らなければ何を言っているか分かりません。その単語を知っていてもどうやって発音するかを知らなければ相手が言っても聞き取れません。このことの重要性に気が付いたのはずいぶん後になってからでした。それこそ、言語聴覚士の先生に細かい発音指導をしてもらうまで気がつきませんでした。(もっと早くから気づく方も沢山いらっしゃると思います。)よって、発音指導をしてもらって驚いたのは、リスニングの能力も格段に向上したことでした。

[逆転の発想]
発音の練習は筋力トレーニングと同じです。口と舌の筋トレです。日本語を話す時と英語を話す時に圧倒的に違うのは舌の動きです。英語は舌を軽く噛んだり、上顎に着けてみたり、後ろに巻いてみたりと大忙しです。ダンベルを持ち上げて筋肉を鍛えるときに、最初は5回しか上げられなかったものが次第に7回、10回と上げられるようになります。舌は筋肉で出来ていますので、動かせば鍛えることができます。トレーニングすれば発音は必ず良くなります!英語は実際に声に出して話すことでどんどん上達します。聞くのも大切ですが、実際に発音するのも同じだけ大切です。どんどん話しましょう!

沢山聴いて、沢山書いて、沢山話せば英語が上達できます。その場の一つとしてぜひSECをご利用ください。SECには沢山聴いて、沢山話す機会があることをお約束します。(沢山書くのは各々工夫してください^^)SECがあなたの英語学習の一助となれば幸いです。

2019年2月16日改訂